【庵治石(あじいし)ガラス】あの庵治石が綺麗なブルーのガラスに!?進化する今ドキの石材。

アート
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庵治石って聞いたことありますか?

そもそもなんて読むの?って思う方も多いのではないでしょうか。

庵治石とは

庵治石は「アジイシ」と読み、香川県東部の庵治(アジ)町、牟礼(ムレ)町でしか産出されてない石なのです。マグマが冷えて固まった火成岩で花こう岩に属します。風化にも強く、繊細な加工もしやすい石質のため墓石材や灯籠などによく使用されてきました。

庵治石は磨くと表面にまだら模様が現れます。この模様は斑「ふ」と呼ばれ、庵治石にしか現れない特徴的な模様です。そのため「花崗岩のダイヤモンド」といわれ世界中からも高い評価を得ているのです。

庵治石(細目)

古くから、牟礼町や庵治町には石工が多く、石材工場が町の至るところにありました。現在も石工さん達がおり、地域では毎年「石あかりロード」と呼ばれるイベントが開催されています。

石あかりロード情報→https://stone-c.net/seminar/6404

石あかりロード2022ポスター
庵治町、牟礼町はこのあたりです。

現在、庵治産地では大丁場、中丁場、野山丁場、庵治地区の四カ所で計36社が庵治石の採掘業務を行なっているそうです。大丁場が開かれたのは今から約四百年前。讃岐藩松平家の命令によって採掘が開始されました。大丁場の庵治石は、高松城や屋島東照宮などに使われたことから「御用石」とも呼ばれています。

例年、この大丁場を見学できるツアーも開催されているのですが、コロナ禍ということもありここ数年は大丁場ツアーは中止されているそうです。現在は再開されているかもしれませんので、ご興味がある方は是非検索ください。

庵治石が使用されているところ

・広島平和記念公園 原爆慰霊碑

・高松空港モニュメント

・大阪城

・屋島東照宮

・首相官邸石庭

・六本木ヒルズ・レストラン街

・手塚治虫のお墓

イサム・ノグチをも魅了した庵治石

彫刻家で有名な「イサム・ノグチ」も庵治石に魅了された一人なのです。イサム・ノグチがはじめて牟礼町を訪れたのは1956年。1969年からはアトリエと住居を牟礼町に構えて、ニューヨークを行き来し、作品制作に励んでいたとのことです。現在、このアトリエと住居は、「イサム・ノグチ庭園美術館」一般公開されているので是非訪れてみてはいかがでしょうか。見学の際は、事前予約が必要なので予約をお忘れなく。

イサム・ノグチ庭園美術館のHPはこちら。↓

イサム・ノグチ庭園美術館/The Isamu Noguchi Garden Museum Japan

イサム・ノグチの遺作が見られるところ

香川県内:「TIME AND SPACE」/イサム・ノグチ 遺作(高松空港)

石碑に記載されている知事の言葉↓

”このモニュメントは、本県の牟礼町にアトリエを構え、こよなく讃岐の自然と石を愛し、香川を第二の故郷として、世界的に活躍されたイサム・ノグチ氏が、新高松空港の開港の記念として、制作された石組の彫刻であります。
この作品は、氏の長年に亘る幅広いジャンルの創作活動のなかで最後のものとなり、遺作となったものであります。
この作品の銘につきましては、製作依頼者である香川県に一任されていましたが、香川県としては、イサム・ノグチ氏の芸術を永久に顕彰するため、銘は氏が創作意図を説明した言葉から引用させていただき、TIME & SPACE(時間と空間)といたしました。
また、碑銘につきましては、氏の直筆の文書より抜粋させていただきました。
平成元年11月吉日 香川県知事 平井城一” 

イサム・ノグチとは

日本人の父、アメリカ人の母との間に生まれたイサム・ノグチは、アイデンティティの葛藤に苦しみながらも、独自の彫刻哲学を打ち立てた20世紀を代表するアーティストです。20代で彫刻家コンスタンティン・ブランクーシと出会い、そのビジョンに強く影響を受け、自然と通底する抽象のフォルムが生み出す世界を、生涯を掛けて追い求めました。ノグチは戦争によって、両親の祖国が互いに敵国になるという経験をしており、平和への強い願いを込めた作品も残しています。参考:https://www.tobikan.jp/exhibition/2021_isamunoguchi.html

イサム•ノグチ

プチ情報↓

実は広島県「平和記念公園慰霊碑」のデザインでイサムノグチの案が採用されたのですが、アメリカ人であるという理由で却下された経緯があります。代わりに丹下健三氏が製作することになったわけですが、慰霊碑を見るとイサム・ノグチのデザインが活かされていることが分かります。)

庵治石の新たな可能性〜庵治石ガラス〜

古くから、御用石として使用されてきた庵治石ですが墓石や彫刻、石垣以外の使い方も出てきているのです。

香川県出身のガラス作家の「杉山利恵」さんにて「庵治石グラス」が作られました。庵治石を溶かして作られる庵治石ガラスは、瀬戸内海を思わせるような綺麗な青色をしています。黒っぽい庵治石からこんな透き通った青いガラスができるなんて驚きですね。

地元の誰もが知っていて県外の人に勧めたくなるようなものを素材に使いたいと考えていたところ庵治石にたどり着いたそうです。

さぬき庵治石硝子 - Aji Glass
讃岐の山から生まれた庵治石をガラスに溶かしたら瀬戸内海の色になりました。 - A glass met Aji stone at Seto Inland Sea

様々な用途で使用されてきた庵治石。生活に溶け込む庵治石ガラス。形が違えど私たちの生活に馴染んでいることがうれさ嬉しいですね。

石だけでも十分、高品質で素晴らしいものなんだけど、それをガラスにするという新しい発想もすごいですよね。

香川を訪れた際は高松空港や庭園美術館で庵治石を見てみてはいかがでしょうか。東京や広島、大阪など各地に庵治石を使った建物があるので、各地を巡るのも面白いかもしれませんね。

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